Wednesday, January 12, 2011

エッセイ脳―800字から始まる文章読本

独断の評価:★★★★★



 この本はすごい。

 いわく、起承転結の『転』から発想せよ。これ、同じことを誰だったか漫画家や小説家も語ってたなぁ。もっとそれとなく。

 自分の書きたいことを『転』とする。それでいいのだ。それがいいのだ。と、言ってくれる。言ってくれるじゃないのと思う。

 『転』ができたらそれに付ける『結』には悩むな。どうとでもしていい。これも、そうはっきり言われるとむしろ気持ちがいい。

 しかるのち、そこに他人が読みはじめやすい『起』を付ける。読み続けたくなるような『承』を付ける。そうか、そうだったのか、それでいいのか、なんてコロッと著者の罠にはまってしまいそうな威勢の良さだ。

 エッセイの場合、文章は枠組みの文章と描写と台詞の3つで書くのだという分類も、よく説明されてる。説明は言葉だけでなく、図式化して説明されていたりもする。いたれりつくせりな仕上がりだな。

 大事なことは繰り返し繰り返し書いてくれてるところなんてのも、実に教育的。と思ったら某大学の通信教育の授業記録に基づいて書き下ろしたものだとか。さもありなん。

 文章におけるカメラワークとか、あえて常体と敬体を混用するとか、文語文と口語文を混ぜるとか、ひとひねりして使う常套句とか、「エッセイストの小道具、お見せします」っていう雰囲気。

 ともかく、ここまで具体的にどうやって考えて書いてますというのをあけすけに書いてある本は見たことがないよ。(といって、いまこの文章がこの本の教えに忠実かというと、そんなことはない。これはしたり。)

 でも、この解明っぷりには感動しました。

 拍手ものです。

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